Cenote
「ビーッ・ビーッ・D装置起動まであと110秒・・・」
一体どのくらい気を失っていたのだろう。
セイラはけたたましく鳴る警告音で目を覚ました。
このFF-X7は軍の最高機密のため、機体に重大な
故障が起きた場合、自動で自己破壊装置が働く
仕組みになっている。
偵察中にジオンの戦闘機に主翼を撃たれ、ジャングル
の穴(セノーテ)に身を隠そうと着陸を試みた。
が、木の枝に機首を接触させてしまい、バランスを崩
し機後部より墜落してしまった。
D装置起動の解除をしたセイラは、キャノピーを開け
身を乗り出した。
視界を塞いでいる大きな崖の遙か上の方、わずかに見
えるジャングルの空を見つめ、ただ呆然と立ちつくす
しか今の彼女に出来ることはなかった。